魚の神経締めは熟成魚を仕込むのにおすすめ!初心者向けに手順と道具をご紹介
ちこ
熟成魚を仕込むなら、神経締めは絶対覚えるべきでしょう。

実は釣り人の間で密かなブームを呼んでいる魚の神経締め。

とりわけ熟成魚ブームの加速に伴い、漁師さんや魚屋さんなどプロの現場でのニーズも高まっているとか。そこで注目されているのが神経締めです。

魚の締め方はいくつかの方法がありますが、今のところ神経締めは魚をおいしくいただく上でもっとも有効な方法だといわれており、魚を熟成させる上でも欠かせないプロセスです。実はこれ、専用のワイヤーさえあれば初心者にも意外と簡単にできてしまいます。

今回は、熟成魚を仕込むのなら絶対におすすめできる、神経締めのやり方をご紹介します。初心者でも手順と道具を覚えると意外と簡単なのでぜひ挑戦してみてください。

神経締めは魚の鮮度を長く保てる

魚の神経締め_サムネイル

神経締めとは、魚の骨髄に専用のワイヤーを通して神経を破壊する締め方です。神経締めは魚の脳機能と身体機能を分断し、死後硬直や身質の劣化を遅らせることができます。魚の締め方にはいくつか方法がありますが、比較的長く鮮度を保つことができ、衛生的な安全に配慮しながら熟成管理も簡単になるのが神経締めの良いところです。

もちろん最高の鮮度を維持しやすくなるので、魚調理の仕上がりにも大きな差が生まれます。刺身で楽しむのはもちろん、ムニエルやアクアパッツァなど、あらゆる魚料理においてワンランク上の味と香りを楽しめるのも特徴です。

初心者向けの魚を締める他の方法をご紹介!氷締めや活け締めなどの解説はこちらの記事。

魚の神経締めにあると便利な3つの道具

それでは各手順の詳細について解説する前に、神経締めを行うのに使用する道具をご紹介します。

魚の神経締めにあると便利な道具については、釣具店はもちろんAmazonやお近くのスーパーでも購入できます。初心者であれば、まずは専用の道具を使って魚を締めるのをおすすめします。

神経締めワイヤー(神経を破壊するために使用)

魚の神経締め用の専用ワイヤー

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魚の神経締めに欠かせないのが、神経締め専用の形状記憶ワイヤーです。神経締めをするなら釣ってすぐがいいでしょう。

魚体によって脊髄の神経が通っている器官の太さが違うため、魚体サイズによりさまざまなサイズを使い分ける必要があります。

一般的に直径Φ0.5~1.5までのサイズが市販されており、鯛やカツオクラスですとΦ1.0~1.2程度が適切でしょう。

大きいサイズのヒラマサなどにはΦ1.2~1.5程度が適当です。

千枚通し(脳を破壊するために使用)

魚の神経締めに使う千本通し

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最初神経締めを行う際は魚にストレスを与えないよう、に千枚通しを頭に差し込んで脳を破壊します。ハサミや包丁でも代用できます。

包丁(内臓を処理するために使用)

魚の神経締めに使う包丁

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魚をさばくのに特化した機能を持つ包丁といえばやはり出刃。

神経締めを行った後の魚は、できればエラと内臓を除去しましょう。必須ではありませんが、もし腹腔に寄生虫などが潜んでいた場合、魚が絶命することで腹腔から身へと移動する可能性があります。

寄生虫による食中毒リスクを避けるために、できるだけ内臓は早めに抜いておきましょう。

クーラーボックス

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魚を保存するために必ず使うのがクーラーボックス。釣りを楽しむ方なら必ず持参する必須アイテムかと思います。

神経締めをした後の魚はクーラーボックスで保管しますが、身質を最大限に保ちたいならタオルや新聞紙などで包んで冷蔵するのがオススメ。こうすることで衝撃などによるダメージから身を守ることができるほか、身が冷えすぎるのも防げます。

初心者でも簡単、魚の神経締めの手順

神経締めのやり方は簡単、まずは魚の脊髄にワイヤーを通すための穴を通しがてら、脳を破壊します。先に脳を破壊することで魚にストレスを与えることなく締めることができます。

あとは脊髄にワイヤーを通して神経を破壊し、活け締めと同じ方法で血抜きをするだけ。

それでは、魚の神経締めについて、紹介した道具といっしょに細かい手順を確認していきましょう。

 魚が感じるストレスは身質に関わる

ストレスは魚の身質を落とす要因なので、魚を締める際に必要以上のストレスを与えるのは厳禁です!

魚の神経締め手順1.脳を破壊する

魚の神経締め手順_脳を破壊する

千枚通しあるいはハサミなどを頭に差し込み、脳を破壊します。

初心者ですと脳の位置を探るのが少し難しいかもしれません。写真では眉間のあたりから脊髄に向かってまっすぐに千枚通しを刺していますが、こめかみのあたりから脊髄に対して垂直に差し込んでもかまいません。要は脳を破壊できればいいのです。

魚の神経締めの手順_脳を破壊する2

カレイやヒラメなど一部の魚を除き、ほとんどの魚にはこめかみがあります。人間と同じく、指の腹でなでてやると少しへこんでいるところがあるのがわかるはず。そこから千枚通しを垂直に差し込み、グリグリと動かします。

魚の口がパカッと開けば脳をうまく締められた証。魚がおとなしくなったら、改めて眉間から千枚通しをまっすぐに刺し込み、ワイヤーを通すための道を作ってあげます。

魚の神経は、脊髄の上部あたりを通っています。つまり中骨の上部です。骨の断面を見ると、神経が通っている小さな穴が開いているのを目視できます。

魚の神経締め手順_脳を破壊する3

千枚通しは、魚の眉間から側線に沿う角度で差し込みます。脊髄に向かって差し込むイメージがいちばんわかりやすいでしょう。

難しそうに感じますが、やってみるとそれほどシビアな作業ではありません!いい角度で穴が開いたら、ワイヤーが尻尾の方まで抵抗なくスーッと入っていきますよ。

魚の神経締め_タオルで魚をおさえる

魚が暴れてなかなかうまくできないという場合は、タオルなどを魚の目に優しくあててあげてください。視界を奪うことで魚がおとなしくなります。

魚の神経締め手順2.魚の神経を破壊する

魚の神経締め手順_神経を破壊する

写真では頭に開けた穴からワイヤーを通していますが、尻尾に切り込みを入れて尻尾側からワイヤーを差し込んでもかまいません。

ワイヤーを差し込んでゴシゴシやると、神経が破壊され魚体がバタバタと暴れます。これは反射による動作です。

ヒレなどが手に刺さると危険なので、軍手をしたりタオルなどをあてたりして安全に行ってください。

神経締めを行ったら、活け締めと同じ要領でエラから包丁あるいはハサミを差し込み、脊髄と動脈を断ち切ってから水にジャブジャブと浸けます。これで血抜きまで完了です。




神経締めをした魚の保存の仕方

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釣り場で神経締めを行った場合、そのままクーラーボックスに保存します。余裕があればエラと内臓を取り除いてから、あるいは血抜きを終えたらそのまま冷水に浸けておいても構いません。

魚を締めた後の保存の仕方はいろいろありますが、おいしくいただくことを前提とするなら、水洗いまで終えてから水気を拭き取り、腹にペーパーなどを詰め込んでから全体を新聞紙などで包み冷蔵する方法がおすすめです。

こうすることで身が水っぽくなり過ぎるのを防げますし、水洗いまでしっかり終えることでゆっくりと身を休ませることができます。

魚の神経締めを覚えると美味しい熟成魚や干物を仕込める!

神経締めされた魚

神経締めをした魚とそうでない魚の鮮度の違いは、実際にやってみるとすぐにわかるでしょう。神経締めをした魚はもちがいいですし、冷蔵庫の中で変な臭いも発生しません。

魚の身質劣化スピードを遅延させることができるので、刺身などでおいしくいただくのはもちろん、熟成や干物づくりにおいても効果的に腐敗を防げます。釣った魚を調理しておいしくいただきたいという方なら、神経締めをマスターしない手はありません。

千枚通しで脊髄に向けて穴を開けるとき、位置や角度がよくわからず戸惑う方も中にはいるでしょう。ですがこれは回数をこなすことで慣れていきますし、一度感覚をつかむと大体の魚に応用できるテクニックです。

魚の締め方のなかでも、いちばん新鮮に持ち帰れる神経締めのコツを習得して、釣った魚を最高においしい状態でいただきましょう!

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