未だ手つかずの大自然が残る北の大地、北海道。トラウト好きであれば1度は北海道のフィールドで魚釣りをしてみたいと思うことでしょう。
しかし、理想の片隅にどうしてもチラつく危険生物が北海道には住んでいます。それが、「熊」。
北海道の自然界で頂点に君臨する生物であり、人間も熊の前ではほぼ無力。北海道で釣りはしてみたいけど、正直なところ熊怖い!
そこで、今回は生まれも育ちも北海道の釣人から、北海道アングラーの熊事情を聞いてみました。
北海道民のリアルな声も踏まえつつ、まずは北海道でのクマ遭遇頻度から見ていきましょう。
北海道はやっぱり熊との遭遇が多いのか?
北海道で長年渓流釣りをしていると、熊を見かけたことがあるという人は決して少なくはありません。私の大先輩でもある釣人も「あぁ、何回もあるよ〜」とあたかも日常の事かのように話をしています。
先日、この記事を執筆するにあたり、全国の熊の目撃情報や被害状況などを調べていると、驚きの数字がわかりました。
その数字とは、北海道の熊の捕獲数(捕殺数)です。
平成最後の年を見ると、熊の捕獲数2位が秋田県、その数408頭。(確かに北海道とご近所の秋田ならなぁ、と納得できます)
熊の捕獲率1位はやはり北海道でしたが、その数なんと、827頭!2位の約2倍!どうやら、熊の生息数が多いという事は間違いなさそうですね。
北海道の渓流フィールドで、熊との遭遇率が高いか低いかと言えば無論高いと私は思います。
すこし森の奥に入れば、熊の足跡があるなんてことは北海道の渓流釣りでは日常茶飯事。私は会わないような対策をしているので、まだ1度も会ったことはありませんが、対策をしていても運の悪い時は熊に遭遇することは当たり前にあります。
まずは熊と遭遇しやすい季節を知ろう
北海道のような熊の出るフィールドで釣りをするならば、熊の生態を知り、正しく付き合っていかなければ命を落とします。まずは、相手を良く知ることが大切です。
早速、熊の生態がどのようなものかを見ていきましょう。
熊が冬眠から目覚めて動き出す春(3月~4月)
冬眠明けした熊が出てくるのはまだ雪の残る3月〜4月。冬眠明けの順番は親子熊よりも単独の熊の方が早いと言われています。
この時期の熊は芽吹いた草や融雪で出てきたドングリなどを食べます。積極的にではありませんが、最近では弱ったシカも食べるようになってきています。
熊の繁殖期も重なりもっとも活発になる夏(5月~8月)
気温も高くなり餌が豊富なため、1年の中で熊が一番活発になる季節です。また、初夏は繁殖期、発情期でもあり、オス熊は気が立っている事が多いようです。
本来は警戒心の強い熊ですが、メスを追いかけて人前に姿を現す事も多くなるため熊の事故は夏に多くなります。
この時期の主な餌はフキやアリ、セミなどを食べます。特にアリの巣ができやすい道路脇や登山道などに熊が執着する事があるため、注意が必要です。
熊以外の動物も冬越しの準備を始める秋(9月~11月)
北海道の秋は訪れが本州よりも早く、9月に入る頃にはヒンヤリとした風がふき始めます。そして、熊にとっても冬を越すために脂肪を蓄える季節に入ります。
この時期から私の住む地域では、カラフトマスやシロザケが川に本格的に遡上し始めます。熊は川沿いや河口周辺で、鮭を捕まえては食べてを繰り返し、冬眠のためにお腹を満たすまで食べ続けます。
多くの熊が冬眠するが危険個体も出てくる冬(12月~2月)
この時期になれば熊は冬眠をします。冬眠中は一切飲まず食わずで排泄もしません。
秋に蓄えた脂肪を元に冬を乗り越えます。最近では冬でも活動をする熊が出てきているのも事実。積雪が少なかったり気温が高いなどの条件が背景にあると言われています。
冬眠しない熊は「穴持たず」と呼び、空腹により凶暴化しやすく、「穴持たずには手を出すな」と昔から言われている程です。
このような言い伝えが残るほど凶暴な熊が実際に人と遭遇したのが、大正4年に起きた獣害史上最悪の事件です。
北海道の渓流で釣り絶対おすすめの熊対策の道具3選
北海道の自然で魚釣りをする際、どれだけ気をつけても遭遇すれば最後の野生生物最強の熊。我々がグラップラー刃牙でもない限り闘って勝てる相手ではありません!
ですが、北海道で魚釣りで大切なことは「熊に遭遇しないための努力を最大限に行う」ことです。
私は渓流釣りを初めて3年程経ちます。今では源流域のようなスパルタンなフィールドにも良く行きますが、1度も熊と遭遇したことはありません。
自分はここにいる事を熊に伝えるための手段や、危険だと思ったら潔く退くというリスク管理は徹底しているためです!
ここでは、私が北海道の渓流・湖フィールドで熊に遭遇しないための対策をご紹介します。
音で人の居場所を知らせる熊避けの鈴
熊避けの鈴は北海道の自然で魚釣りをするなら必須アイテムです!
これを忘れるとフィールドを変えるか釣りを止めるか考えるほど、北海道の渓流・湖の釣りなどフィールドを選ばずマストアイテムです。
バッグなどにつけて常に自分がいる事を熊に伝えます。決して自分は熊と遭遇しないなどの過信は自殺行為、必ず持っていくようにしましょう。
熊スプレーは熊避けの鈴とセットで持ち運ぶ
熊スプレーはホルダーに入れていつでも出せる準備はしていますが、運良く未使用の熊スプレー。値段はやや高めですが、熊と遭遇した時に1万円で命が守れる可能性が上がるなら安いものです。
私の場合はいざという時に備えて、必ずホルダーとセットで腰につけて常備しています。使い方や射程距離、熊が来た時のモーションを何度も確認、万全の準備だけはしておきましょう。
熊撃退スプレーはホルダー付きがおすすめ!
熊を追い払うための指笛・爆竹
指笛は出来る人できない人がいると思うので爆竹などを使う方が確実です。森が深くて見通しの悪いところや、まだ比較的新しい熊の足跡を見かけた時などに鈴と併用して指笛・爆竹を鳴らします。
熊も人も気づかなうちに、お互いの距離が縮まっている場合もあるので、「やばい!」と思ったらとりあえず大きな音を出しましょう。
自然が深いフィールドに入り始める時も、念のため爆竹を使えば、周囲の熊を追い払うことができます。
熊と遭遇しないためには事前準備が大切!
今回は北海道のフィールドをメインに魚釣りをしているアングラー達が普段どれだけ、熊に気をつけているかリアルな声を聞くことができました。
熊の生態を知り、正しく恐れることで遭遇の確率をできるだけ抑える努力が必要なのだと実感できますね。
改めて、北海道のアングラーがおすすめする、熊と遭遇しないための大切なポイントをまとめました。これから、北海道での渓流・湖などのフィールドをでトラウトを狙っている方は事前準備の参考にしてみてください!
北海道の渓流釣りで熊と遭遇しないための5点まとめ
- 1.熊避けの鈴は必須!無いと自殺行為
- 2.熊スプレーはホルダーに入れていつでも出せるように
- 3.見通しの悪いところでは笛・爆竹・鈴を大きめの音を鳴らしながら進む
- 4.フィールドに熊の足跡や爪痕などの痕跡がないか細めに探す
- 5.身の危険を感じたら無理せず退散する
トラウト目的の渓流釣りでは繁殖期とサケマス遡上時期に要注意!
繁殖期(6月〜7月)はオスがメスを求めて活動するため、この頃の熊は非常にナーバスであり、気性が荒くなる傾向にあります。熊での死亡事故が最も多くなる時期でもあるため、北海道の渓流を初めとするフィールドで魚釣りをするなら熊対策は確実にしておきましょう。
続いてサケ・マスが遡上する9月 ~ 11月にも注意が必要です。川によっては遡上するマスやサケを捕食しに熊が川へ近づいてくることがあります。
熊が出なさそうなフィールドだと思っていても、実際に目撃された事例もたくさんあるため油断せずに準備をする方が良いでしょう。
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