料理ライターが教える包丁のメンテナンス方法!初心者向けの研ぎ方とおすすめ砥石を解説
ちこ
今回は砥石を使った包丁のメンテナンス方法を初心者向けにご紹介します。

どんなに高価で切れ味の良い包丁も使い続ければ切れなくなります。つまり、必ずメンテナンスが必要になるということです。

皆さん、包丁をメンテナンスしていますか?最近では安価に包丁を購入できる店も増え、もしかすると消耗品感覚で使っている人もいるかもしれません。でも釣り師たるもの、リールや竿と同様、大切なツールの一つである包丁やナイフ類もしっかりメンテナンスしたいですよね。

今回は、包丁を研いだことがない初心者の方でも実践できる、砥石を使った本格的かつ簡単な包丁研ぎテクニックをご紹介します。

包丁研ぎに必要な道具

包丁研ぎに必要な道具
包丁研ぎに必要なのは、基本的に砥石と包丁だけです。包丁研ぎ用に汚れてもいいタオルが一枚あると便利でしょう。濡らしてから固く絞って砥石の下に置くと滑り止めになりますし、作業台に傷がつくのも防げます。

砥石には番手があります。つまり砥石の粒子の大きさです。番手が大きいものは目が細かく、番手が小さいものは目が粗いといった具合です。ヤスリをイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。つまり番手の低いものでは包丁を荒く削ることができ、番手の高いものでは包丁を細かく磨くことができるということです。

砥石は一般的に、以下のように大別されます。

包丁研ぎに必要な砥石
・荒砥(あらと)──写真右。包丁の荒砥ぎに使う。

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・中砥(なかと)──写真中央。荒砥ぎと仕上げの間に使う。

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・仕上げ砥(しあげと)──写真左。仕上げに使う。

最初に荒砥で包丁の線を整え、次に中砥で刃をつけ、最後に仕上げ砥で刃の目を細かく仕上げるといった流れです。

魚を処理する方のほとんどは、出刃やホネスキなど身の厚い包丁を使っているはずです。それでも魚の骨によって刃が欠けてしまうなど、包丁を酷使している方は多いでしょう。たまには仕上げ砥を使ってしっかりメンテナンスしたいですが、今回は初心者の方向けに中砥一つだけで行う日常的な研ぎ方をご紹介します。

包丁を中砥砥石で研ぐ前に

包丁を中砥砥石で研ぐ
今回使用するのは中砥と包丁だけです。包丁は小出刃を用意しました。

いよいよ包丁研ぎを開始しますが、その前に準備が必要です。準備で行うことは二つ。一つは「砥石に水を含ませること」、もう一つは「砥石の研ぎ面をたいらにすること」です。

包丁を砥石で研ぐ準備1.砥石に水を含ませる

包丁を砥石で研ぐ準備1.砥石に水を含ませる
中砥は、水をしっかり含まないと機能しません。包丁をあてて研ぐことで砥石から研磨剤が出て、その研磨剤によって包丁が研がれるからです。水を含んでいない状態の砥石を使って包丁を研ぐと、かえって包丁にダメージを与えることになるので注意してください。

砥石に水を含ませるには、写真のように水を溜めた容器に砥石を30分ほど浸けておくだけです。

包丁を砥石で研ぐ準備2.砥石の研ぎ面をたいらにする

包丁を砥石で研ぐ準備2.砥石の研ぎ面をたいらにする
研ぎ面がたいらでないと、包丁を正しく研げません。形の歪んだ砥石で研ぐと、包丁の線まで歪んでしまいます。ですので、荒砥や中砥など他の砥石を使い、砥石同士をこすり合わせるようにして表面をたいらにならしましょう。




初心者でも簡単!砥石を使った包丁の研ぎ方

準備ができたら、いよいよ包丁を砥石で研ぎます。

包丁を研ぐときは、刃先を砥石に押し付けるように指先で軽く押さえながら、包丁を前後に動かします。前に押し出す動作をするときに包丁を研ぐよう意識し、手前に引くときは包丁を定位置に戻すだけの意識で構いません。

なお、このとき重要なのが「砥石に対する刃の角度」です。

出刃など片刃の和包丁であれば、切り刃を砥石にしっかりあてて研いで構いません。しかし牛刀や三徳などの両刃包丁は、包丁を砥石にべったりとくっつけると刃が研げないのです。かといって包丁を起こし過ぎると刃がどんどん削れていき包丁が潰れてしまいますので、10円玉一枚分の厚さ程度に刃を起こし、その角度を維持しながら包丁を研ぎます。

包丁の研ぎ方_砥石に対する刃の角度
刃の頭から順番に、研ぐ場所を押さえながら研いでいきます。刃の先の方、中央、手元の方と、大体3~4箇所に分けて研ぎます。1箇所につき25回程度研げばいいでしょう。両刃の包丁の場合は、反対側も同様に研ぎます。

たったこれだけで刃がつき包丁が蘇りメンテンス完了です。

刃がついたかどうかを確認する


料理人などは、包丁を研いだ後に自分の爪を使って刃がついたかどうかを確認します。刃を爪にあてて、刃が爪に食い込む感触があれば刃がついた証。刃がツルッと滑って爪に食い込まないようなら研ぎが足りない(刃がついていない)ということです。

刃がついたかどうか簡単に確認できる方法ですが、指などを切らないよう十分ご注意ください。

初心者向けの砥石を使った包丁の研ぎ方まとめ

包丁の研ぎ方_初心者向けサムネイル
最後にもう一度、包丁研ぎの重要なポイントを四点おさらいしましょう。

1.中砥には水をよく含ませ、表面をならしておくこと。
2.包丁を研ぐ際は、研ぎたい場所を指でしっかり押さえること。
3.両刃の場合は、10円玉の厚さ程度だけ包丁を浮かせて研ぐこと。片刃の場合は切り刃を砥石にべたっとくっつけて構いません。
4.片刃の包丁は刃がついている片側だけ、両刃の場合は両面を研ぐこと。刃の先から後ろまで、全体的に均一に研ぐよう意識しましょう。

力を入れると手が滑って包丁のメンテナンス中にケガをする可能性があります。ケガには十分注意し、必要以上の力を入れずに行ってくださいね。

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