皆さん、刺身は好きですか?
刺身を作るときは、魚をおろした後に柵を作る必要があります。今回は柵の作り方をご紹介します。
さて、そもそも刺身を作るときの「柵(さく)」って何?と思われた方もいるかもしれません。
柵というのは、魚の身を刺身にできる状態に切り分けたものをいいます。つまり、皮や骨、血合いなど、食べられない部分を取り除き、「あとは切れば刺身になる」という状態に切り分けた身のことです。
どんなものかというと、こういうもの(下写真参照)。
スーパーの鮮魚コーナーでも、こういう状態の切り身で売られている柵を見たことがあると思います。柵を作ることを「柵取り」といい、「鯛の柵とっといてー!」といった具合に使います。
魚の柵取りの基本
柵の取り方は魚の形状や種類、サイズなどによりやや異なりますが、柵取り手順の基本は同じです。
刺身を作る際の必須工程であるとともに、唐揚げなどにする場合にもこうした処理を施しておけば、骨などが口に障らないおいしい唐揚げを作ることができます。
1.腹骨を取る
2.小骨を取る
3.皮を引く(取り除く)
魚の柵取り手順1.腹骨を取る
ほとんどの魚には腹骨があります。魚の身をおろした後は、この腹骨を包丁ですくようにして取り除きます。難しい作業ではありません。
魚の柵取り手順2.小骨をとる
血合い骨やその他の小骨など、魚の身には小骨があります。魚の種類によって小骨が入っている位置が違ったり、小骨があったりなかったりします。
指先で優しく身をなでるようにして、小骨があるかどうかを確認して取り除きましょう。
魚の柵取り手順3.皮を引く
包丁を使って皮を剥くのですが、これには少し慣れやコツが必要です。とはいえ少し練習すれば誰にでもできる程度のものですから、一度の失敗にめげず、ぜひ何度も挑戦してみてください。
カレイなどを唐揚げにしたりムニエルにしたりする場合、あえて皮を取らないこともあります。また、鯛などウロコが大きな魚は、ウロコをつけたまましっかりと火を通し、パリパリ食感に仕上げる料理もあります。色々とアレンジして料理を楽しんでみてください。
魚の柵取りにあると便利な道具たち
魚の柵取りには、欠かせない道具が二つあります。一つは「包丁」、もう一つは「骨抜き」です。このほかキッチンペーパーやさらしなどがあると便利です。
魚の柵取り道具1.包丁
魚をおろすのには、通常出刃包丁を使います。魚の身をおろしたあと、その流れで柵取りする場合は、出刃包丁で柵をとるといいでしょう。
もちろん、柳刃包丁を使っても構いません。柵取りでは、腹骨をすき取るのと皮を引くこと、あとは柵の形を整えるくらいにしか包丁を使いませんので、最悪ペティナイフでもできちゃいます。臨機応変に対応しましょう。
魚の柵取り道具2.骨抜き
魚の柵取りにおいて、骨抜きは必須アイテムです。
なぜなら、魚の小骨は指で引っこ抜けるようなものではないからです。清潔な毛抜きなどを代用できないこともありませんが、専用の骨抜きの方がしっかりと骨をつかめるので、持っていない方はぜひこの機会に骨抜きを導入してください。
高い買い物ではありませんし、とても便利なので作業効率が上がりコスパよしです。魚をさばく機会が多いのであればなおさら、骨抜きは「買っておいてよかった」と実感する類の道具ですよ。
それでは、魚から実際に柵をとっていきます。
魚の柵取り手順を解説!
今回はソイから柵を取ります。これはソイを三枚におろした身です。まだ腹骨がついていますし、小骨もあります。もちろん皮もついている状態です。
魚の柵をとる前に、一つ大切な心構えを頭に入れておいてください。
魚をおろすときと同様、柵を取る際も「できるだけ身をむだにしない」よう意識することが大切です。
つまり、骨や皮に身を残さず、きれいに美しく処理することが重要なのです。慣れないうちは上手にできないかもしれませんが、これを意識するとしないとでは、上達速度に大きな差が生まれます。
お魚さんの命に感謝し敬意を表して、むだのないよういただきましょう。
魚の柵取り手順1.腹骨を取る~実践編~
まずは腹骨を包丁ですき取ります。人間でいうと肋骨にあたる部分です。この魚の肋骨部分は「ガンバラ」などともいいます。
ガンバラは、緩やかにカーブするような形状になっています。魚の種類によりやや形状が異なり、北日本側に棲息する魚などにはカーブの強い独特な形状をしたものが多く見られます。
魚の種類を見ながらうまく対応してください。
ガンバラのすき取り手順ですが、まずは腹骨と身の間の神経を断ちます。
神経は意外と固く、包丁の進みを妨げるためです。このように包丁を逆さに入れて、神経を断ち切ります。
ガンバラの先端が身から離れたら、あとは骨に沿って少しずつ包丁を入れていきます。骨が身から外れたら完了。
魚の柵取り手順2.小骨を取る~実践編~
次に、骨抜きを使って柵から小骨を1本ずつ取り除きます。1本も取りこぼさずすべて取り除きます。
大体は魚身の中心をまっすぐに、つまり側線に沿う形で骨が入っていますので、1本1本ていねいに引き抜いていきます。
この他、ガンバラ側にも小骨が走っている魚もありますので、指で身をなでながら骨の有無や位置を確認し、すべて取り除いてください。
骨抜きで小骨をまっすぐに持ち、左手の指で骨の周りの肉を軽く押さえながらピッ!と、瞬発力で引き抜くのがコツです。
また、ここに血合いが走っている中型~大型の魚の場合、血合いに沿って包丁を入れ、柵を切り分けると同時に血合い肉を取り除きます。
柵から小骨をすべて取り除いたら、この工程は完了です。
魚の柵取り手順3.皮を引く~実践編~
ガンバラや小骨の除去は、初心者でもさほど難しくない作業です。問題はこの皮引き。
魚の皮に身を残さず、いかにきれいに引くかが課題ですが、包丁の使い方にポイントがあります。
魚の皮を引くコツをご紹介する前に、皮の引き方の種類についてお話しします。
魚の柵造りで皮を引く方法には、「外引き」と「内引き」があります。
外引きとは、包丁の刃を自分から外側に向けて皮を引くやり方。内引きは包丁の刃を内側に向けるやり方です。今回は外引きで行います。やりやすい方で練習してください。
さて、それでは魚の皮を引いてみましょう。
まずは皮1枚を残すイメージで、尾の方に切り込みを入れます。
魚の身はすべるので、キッチンペーパーやさらしなどを使って尾の先端をしっかりつかんでください。
あとは刃を使って皮を離していくのですが、コツは「包丁を動かす」のではなく、「皮を動かす」ことです。包丁は角度を変えるだけで、尾をつかんでいる方の手を左右に動かしながら、皮を引いて刃にあてていきます。
皮が引けたら柵取りの完了です。
魚の柵取りを練習しよう
魚の柵取りは、刺身を作る際の必須工程です。
もちろん、刺身だけでなく唐揚げやムニエルなど、さまざまな魚料理に使えるテクニックなので、ぜひとも習得してください。
上手な柵取りで、魚料理をムダなくおいしく楽しみましょう。
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